本稿の目的は,英国の大学図書館における特別支援担当が抱く問題とコミュニケーションチャネルとの関連性を相談・研修・協働に着目して検証する。方法は英国の大学図書館員152名を対象にオンライン調査を実施し,回収率は69名(45%)であった。分析は単純集計と相関分析を行った。
結果として,コミュニケーションチャネルに関連がみられた問題では,「対応」,「情報不足」,「疎通不十分」,「予算減少」の影響が挙がった。それらの問題は改善がみられ,回答者は「問題を重く捉えていない」と認識していた。
一方,コミュニケーションチャネルと関連がみられなかった問題は,「過度の期待」,「参加不十分」,「時間の制約」,「担当の不足」が挙がった。これらの問題は特別支援担当以外の要因であった。それらの問題は改善がみられず,回答者は「問題を重く捉えている」と認識していた。これらの問題については,他のアプローチが必要であることが示唆された。