小林秀雄の批評思想形成に、西欧の「生の哲学」と日本の人格主義教育が融合して生まれたと考えられる「大正生命主義」が多大な影響を与えた事実を探る。この思潮の源流として白樺派の特質をも形成したと考えられる「生命主義芸術教育論」があり、それは一方で大正十年前後に最盛期を迎えた生命主義国語教育として受け継がれ、一方で西田幾多郎や和辻哲郎、阿部次郎ら、京都学派思想家の思想の核を作ることになった。