キーワード:権狐、ごん狐、新美南吉 物語の舞台と考えられている幕末の岩滑と、矢勝川を挟んで北に接する阿久比との間には、川の治水を巡って深刻な水利・治水争いがあり、それは南吉の時代にも続いていた。時代や舞台など物語の様々な要素の配置は、この紛議をふまえたものとなっていること、およびこの諍いがもたらすだろう悲劇への批判的な意識が作品成立の背後にあったと考えられることを指摘した。