キーワード:小林秀雄、大正生命主義、生の哲学、人格主義、和辻哲郎とニーチェ思想 初期小林秀雄の作品群には生命主義的な発想の痕跡が見られ、その痕跡には、日本の「生命主義」(大正生命主義)がもつ特質であるところの人格主義的発想が明らかに認められる。西欧から日本に受容された「生の哲学」は、非合理な生命の力を認識の根本原理として称揚する思潮であり、それが人格陶冶主義と結びついて「大正生命主義」を形成した。初期小林の作品群には、その過程が縮図として刻印されている。以上の事実を論証した。