昭和十年代の小林秀雄の「肉体」を重視する記述の背後には、明治初期から連なる芸術教育論思潮を基盤として明治30年以降に形成された生命主義美術批評がもつ、精神・肉体不可分の活動として「生命」を捉える観点がある事実を論証した。また、白樺派の人格主義的美術批評もその流れの中にある事実をあわせて示した。