変動係数、タイル測度、MLD、ジニ係数といった全体的不平等測度を用いて、アダムズ方式による議席配分と他の配分方式によるそれとが比較評価された。具体的にはローレンツ優越の概念から、検討に値する配分の集合(LD集合)が定義され、そこにおけるアダムズ方式の解の不平等度の順位が、合衆国の下院、日本の衆議院のデータから算出された。その結果、アダムズ解の不平等度はLD集合の中で最悪の部類に属することが明らかにされた。またアダムズ方式に内在する不平等観(ボトムアップ最優先)が全体的不平等と相いれないものであること、また、その不平等観の副産物として人口規模の小さい地区への議席の偏りが生じることが明らかにされた。