「灌頂記」は、弘仁三年(812)から弘仁四年(813)にかけて、弘法大師空海が高雄山寺において、金剛、胎蔵両界の灌頂を授けたときの記録である。日本仏教史上の重要な文書としてもすこぶる有名なこの文書に顔真卿の影響があるとする説については一つの争点となっている。この問題をとくかぎが執筆体勢にあるということを本発表で述べた。