明治時代における「食人」という言説と「狂人日記」主題の創出との関連性について発表したものである。中国語の題名は「明治時代的『吃人』與魯迅的『狂人日記』」であるが、かかる問題について、実証的研究を行い、「食人」という言説の思想史的位置づけを明らかにしようとする一方、魯迅がそれをどう受け止めたか、そしてどのようして自分の創作活動にそれを生かし、独自のモチーフを発展させたかを探求するものである。具体的には神田孝平、芳賀矢一、桑原隲蔵を中心に展開するが、芳賀矢一『国民性十論』の魯迅にとっての意義に重点を置くもので