日本留学時代の魯迅を囲むニーチェ主義及びその周辺の文芸思潮と魯迅留学時代に書いた論文との関連性について実証的に論述するものである。具体的に、魯迅テキストと桑木厳翼の「ニーチェ論理学一斑」との関連、魯迅の「個人」という言説と明治三十年代の「個人主義」をめぐる論争との関連を明らかにする上、魯迅および日中近代史の視座から「明治ニーチェ導入史」、「丸善書店とニーチェ」、「論争の焦点とニーチェ衝撃の余波」、「魯迅における人の形成」などを論述した。