当研究の目的は「諸橋轍次と近代中国との関係」という視座から諸橋轍次と中国学者、とりわけ五四新文化運動時期の中国学者との交流実態を調査し、もっぱら『大漢和辞典』の著者としてのみ諸橋轍次を評価する従来の視点を見直し、同時代中国知識人との人的交流という視点から漢学者としての諸橋轍次の歴史的貢献について再評価を試みる一方、諸橋轍次が直接交際を通じて残した記録や物品などを通して中国五四新文化運動のこれまでほとんど知られていない側面を明らかにしようとするものである。 第一次的資料としていままでほとんど整理されていな