キーワード:土木工学
武上真理子氏が原作とするこの論文は、「civil engineering」という語は紆余曲折を経て、一応「土木」という訳語の定着を見るわけだが、それ以前にも「済世の器械を作ること」など、近代西洋の価値観を体現する語のひとつ「civil」をアジア在来の概念とすり合わせようとする試みもなされていた。またこの論文は、概念語訳語研究の正道である各種辞典の詳細な比較検討によって、訳語定着の過程を明らかにしているのみならず、その「土木工学」なる学術領域が、近代日中の社会においてどのような位置を