漢訳された仏教聖典の文体には長行(散文)と偈頌(韻文)とがある。これまでは前者が主に研究の対象とされてきたが、実は後者から見えてくることも少なくないのである。そこで本研究では偈頌を研究の俎上にあげて、関連する諸問題を中華の韻文の三要素である音数律・声律・韻律の方面から検討を加えた。総論篇では漢訳された偈頌全般についての構造や種類を論じ、各論篇では具体的に個々の問題を解明した。