名翻訳家の誉れ高い姚秦の鳩摩羅什は経論の漢訳において偈頌を漢語の韻文に再構築する作業を放棄した。それは仏の金言を固守するためであったが、その卓越した漢語能力をもって『大智度論』の偈頌の一部にはなぜか韻律の配慮を施した漢訳を行なっていた。その背景について論及した。