西晋失訳『玉耶女経』一巻は、給孤独長者とその息子の嫁である玉耶が登場する物語である。一見して経文はすべて長行(散文)で漢訳されており、偈頌(韻文)は説かれていないようであるが、実は釈迦の玉耶への語り長行部分に韻文が隠されている特殊な事例である。我われが知るところの常識的な偈頌でも長行でもない、この特殊で不可解な韻文について、その実態と目的や効果を解明した。