隋から唐の前半までは中原に戦乱もなく政治は安定していた。それは宗教界の発展を後押しすることになり、各種儀礼が盛況してゆく。善導は実際の儀礼を挙行する経験から、讃偈に文学的な要素を加味して、これまでの殺伐とした仏教儀礼に潤いを与えた。華美に飾った言辞には偏らず、また味気ない表現にも陥らない。換言すれば通俗性(俗文学性)と宗教性を兼ね備えた大衆音楽作品であったということを、いくつかの用例をあげて確認した。