『浄度三昧経』は経題のとおり、いわゆる「三昧経典」である。中国撰述経典にあっては、当該の経典の内容というものは、経題に端的に表われるのである。しかし本経においては、まったく三昧に関して説いておらず、このためなぜこのように呼称されたのかが不明瞭である。そこで中国選出経典における「三昧経典」群を点検した結果として、これが仏教における「三昧」ではなく、俗的に派生した「三昧」であることがわかった。