善導の『往生礼讃偈』には、浄土宗でいうところの「発願文」という短い願文が載せられている。願文というものは南北朝から多くみられ、どれも短文である。そしてかなり類似性をともなう性格がある。善導の「発願文」にしても、独自のものではなくして、先行する願文などを用いて作られることがわかった。また敦煌石室本を用いることによって検案となっていた語法上の問題点が氷解することになった。