中国浄土教の儀礼者として礼讃文類は南北朝の末から隋・唐・宋代へと断続的に創作され、それにもとづく儀礼が行われてきた。そのうち、とくに彦琮と善導の礼讃文をとりあげて、当時の詩における韻律と比較しながら、両者の作品の特色を明らかにした。前者は官韻の『切韻』に準じており、後者のそれは必ずしも韻書に準拠して作られているものではなく、ここに儀礼書としての大衆性・通俗性を認めることができるのである。