『浄度三昧経』の語彙は非常に豊かである。それは既存の典籍を再編成し、そこに独自性を付加しているからである。前者を編纂とよび、漢訳経典においては特に西晋の竺法護の訳語語彙や訳文を用い、また外典からは『礼記』・『韓非子』・『史記』・『後漢書』などの文が広く採用されていることを明らかにし、後者を撰述とよんで、三十地獄説をめぐる独自の展開を明らかにして本経における構造を検討した。