呉の支謙は月氏国から帰化した居士であり、洛陽で生まれ中国人としての教養をもって仏典の漢訳を行っている。よって『維摩経』などその訳出経典の多くの偈頌には韻を配慮しつつ訳していたことが判明した。本稿では『般泥■経』・『法句経』・『演道俗業経』・『鹿母経』に見られる偈頌を対象として、これらの経典(またはその偈頌部分)が支謙による漢訳であったことを経録の記載もふまえて論じた。