五会の音曲念仏をもって僧俗を導き、中唐の浄土教の儀礼を確立した法照禅師は、まさしく善導の浄土教儀礼を継承するものであり、その創作した礼讃偈は詩文学において、その後の趨勢に絶大な影響を与えた李白と杜甫の近体詩の格律にもとづいていることがわかった。しかしその一方で、必ずしも官韻の『切韻』音系に準拠しているのではない。これは礼讃偈が大衆とともに唱和される通俗性によるものであることも検討した。