キーワード:高声梵唄、偈頌、白延、須頼経 三国魏の白延が漢訳したと伝えられる『須頼経』一巻の偈は梵唄と関わっている。それは『出三蔵記集』12の「覓歴高声梵記 第十一 唄出須頼経」という記事から知ることができる。『須頼経』には、この魏の白延訳本のほかに前涼の支施崙訳本も現存し、両経ともに数多くの偈を有している。本稿の目的は、覓歴の「高声梵唄」が素材としたのは、どちらの訳本のどの偈であったのかを探ることにある。