キーワード:彦琮、漢訳論、『弁正論』、八備 隋の彦琮は隋から唐にかけて盛んとなる宗派仏教(または学派仏教)の系譜に連ならなかった学僧であり、そのため仏教史学において注目されることはなく、その業績の多くが霧散してしまった。本稿では多方面で活躍した彦琮の業績の中でも、『弁正論』に示される彼の漢訳論とそこに帰着する背景について八つの項目を立てて考察した。