キーワード:来華僧、漢語能力 インドや西域諸国から中華に来た僧侶たちにとって、仏典を漢訳することは決して易しいことではなかった。彼らに要求されていたのは適確な漢語能力(豊富な語彙数・適正な語法・精確な漢字音の識別力)であり、さらには中国古典に対する幅広い知識も含むものであった。本稿ではそうしたインドや西域から来て漢訳事業を担った来華僧たちによる漢語能力について僧伝や経序などの資料をたよりに論究した。