仮名垣魯文の『安愚楽鍋』の読解を中心に、明治初期の牛鍋の材料、味つけ、調理法などを明らかにし、文学作品集における牛鍋の意味を、探ったもの。当時の牛鍋は、注文時に客が調理法を指示し、即席で作られるものであること、スキヤキと牛鍋はこれまで同一視されてきたが、スキヤキは牛鍋の中の一つの調理法であることを指摘、牛鍋の描かれる文学作品の登場人物像に言及した。