キーワード:フェミニズム、マルチカルチュラリズム、オーキン、集団的権利、家父長制 マイノリティの解放をめざす政治的戦略として、おおむね肯定的にとらえられているマルチカルチュラリズムには、内包するアポリアが数多くある。そのなかでも、文化の概念がもつ問題性とあいまって近年アメリカでたたかわされた論争をもとにして、マルチカルチュラリズムとフェミニズムの軋轢、対立について検討し、あわせて文化の実体化に陥らず、差異に対して暴力的にもならない「第三世界フェミニズム」の展望を示した。