キーワード:外的自然、人的自然、人間的自然、リベラル優生学
ホルクハイマーやアドルノ、マルクーゼといったフランクフルト学派第一世代の思想家たち、および近年のラディカルなエコロジストたちの思想とハーバーマスの思想を截然と分かつのは、自然概念の規範化の有無である。ハーバーマスは、外的自然と内的自然の双方を脱規範化したことにより、ユートピアニズムの放棄のかわりに理論的厳密性とペシミズムからの脱却を獲得した。 しかし、2001年に出版された『人間的自然の未来』では、リベラル優生学との対決のなかで、外的自然と