日本の近代化に都市中間層が果たした役割を、明治から昭和にかけて金沢市で活躍した象嵌職人の日記を基にして考察した。これまで都市中間層の視点から日本の近代化を問い直す研究は少なかったが、日記をデータベースとして中間層の歴史的状況を、その言語、仕事、家族、地域、政治の各領域で分析し、日本の近代化の問題点を指摘した。