生活構造論の視点から、明治・大正期の金沢の地域社会の変容を問題にした。使用した資料は金沢の伝統職人の日記である。伝統職人の仕事関係、近隣関係の構成を日記から分析し、大正期に町内会の母体としての町内が形成されてくる過程を明らかにするとともに、金沢が近代化の戦略として「伝統都市」になることを選択し、地域住民からもその戦略に積極的に関与する動向があったことを明らかにした。