本稿は、1909年王立救貧法委員会少数派報告の「ナショナル・ミニマム」とは、どのような概念であったのかという点を明らかにした。結論として「少数派報告」では「人口一人当たりの“ナショナル・ミニマム”支出率」という新機軸が登場したことを明らかにした。この新しい「ナショナル・ミニマム」は、各地方自治体に財政的なミニマムを保証することによって間接的に、多様な地域住民へのミニマムを保証しようとしたものであった。