本稿は、1901年に公刊されたラウントリーの『貧困』とは、どのようなテキストであったのかを明らかにすることを課題とした。結論として、同書のなかの「貧困線」と「貧困のライフサイクル」というふたつの重要な概念は、「第一次貧困」の最大の「貧困原因」が「低賃金」であったという事実発見によって相互規定的に構築されたものであったことを、明確にした。