律に規定される教団法は,すべてブッダが定めたというのが律蔵の基本的な立場であるが,中には比丘たちが自ら規定を作ったというケースが存在する.それらの中で,特に注目すべき事例として「ウパセーナの因縁物語」を取りあげ、「学処規定はすべて佛説である」という原則から逸脱した事例の持つ意味を検討し、このような事例が初期仏教教団の実状を知る上で重要な資料となることを明らかにした。(総6頁)