キーワード:漢代、史書、聡慧(聡恵)、小学、官文書
漢代の「史書」は一般的に書体(隷書や大篆)を意味すると考えられているが、 一方で「吏書」=官文書とする異説があった。張家山漢簡・史律の釈文が公開さ れると、そこに見られる「史書」をめぐって、文献史料とのかかわりで議論が 活発化した。しかしそこでも書体説が大勢を占めているようであるが、私見では 史律の「史書」は従来の見方ではとらえきれないものだと考える。この点につい ては以前に指摘しており、本稿では文献史料に見える「史書」を再検討する。そ こから、従来かから見解が分かれるのは、文献史料の「史書」が時期によって、その意味する内容が異なることに一因があることを指摘し、新たな「史書」に対する観点を提示する。