キーワード:後漢後半期、曹操、公府、辟召、曹操政権論
従来から、曹操が独自の勢力を形成する時に、辟召(公府による辟召)を盛んに 行ったことが指摘されている。しかしそれがどのように行われたのか、具体的な 分析は必ずしも十分には行われてこなかった。そこで本稿では、漢代の一般的な 辟召と対照した時、曹操の行った辟召にどのような特徴が見られるのかを、具体 例を提示しながら基礎的な分析を行った。そこからは、従来の辟召では行われな かった、新たな形の辟召の姿が見えてくる。その一つが、現役の官僚(命官)を 辟召するということである。これがいかなる意味を持つのか、本稿ではその一端を提示する。