伊豆諸島の足入れ婚と当該地域の特徴的な家族慣行である「隠居慣行」の相関性について、総括的な分析と解釈を提示している。特に当該地域において見られる「親子二世代夫婦不同居の意識」を重点的に取りあげ、足入れ婚のようないわゆる「妻問い婚」が長く存続してきた背景には、嫁が婿家に引き移ることを拒む意識が潜在的に存在したのではないかという仮説を提示する。