「寝宿婚」という婚姻類型の是非をめぐって、かつて激しい議論を繰り広げた大間知篤三と有賀喜左衛門との、通称「寝宿婚論争」と称せられる論争を取り上げ、両者の「婚舎」と「寝宿」という用語の概念の相違から、婚姻そのものの理解の相違について論証する。両者の議論の核心は、「既婚者」と「未婚者」という用語理解の相違に基づくものであることを提示し、独自の世代階梯区分を想定し、かつ新しい婚姻理論構築の可能性を示す。