家島における兄弟分の慣行と妻問い婚について、八木む独自の婚姻理論に基づいて分析を試みている。すなわち、兄弟分のような若者小集団は自由恋愛から婚姻が導かれるような妻問い婚において、個人の社会関係が大きく変化する機会に生ずる種々の葛藤を最小限に止めるための社会的機能を有しており、換言すれば個人とイエ、個人とムラとの間に存在する民俗的秩序を差配するシステムとして捉えんとする見解を提示する。