本論分は「日本民俗学の現在」という特集号の掲載論文として、学会編集部からの依頼を受けて執筆したものである。内容は、近年の民俗学における族制研究の潮流を概観した上で、最近刊行された主要な著書・論文について、個々に八木独自の分析と評価を加える。さらに今日の民俗学研究の問題点と今後の研究のあり方、特に族制分野におけるフィールドの偏重を問題視し、今度の研究の志向性とその方法論について独自の見解を提示する。