日本における命名法の一形態である祖名継承に関する研究史を紹介し、その意義と問題点を整理しながら、祖名継承研究の課題と可能性を抽出する。上野和男、蛸島直などの研究を丹念に探りながら、祖名継承が認められるのはどちらかというと双系的な家族が顕著に見られる地域での特徴的な民俗慣行であることを指摘し、その研究に際しては、命名をめぐる習俗の歴史性が問われねばならないことを主張する。