廬山の慧遠は、沙門が王者を礼拝すべきかどうかという問題に関して、桓玄の問いに答え、ついで「沙門不敬王者論」を著した。慧遠は次のように述べる。(1)在家の者は「方内」の民であるから君主を拝礼する。(2)出家は、「方外の賓」(『荘子』)であるから、世俗を超越しているので君主を礼拝する必要はない。(3)しかし沙門が君主を拝礼しないからといって、君主に敬意を抱いていないのではない。沙門が仏道を求めて徳を完成すれば、その恵は広く天下に行き渡る。そのように世俗の世界とは別の方法によって大きな貢献をするから、「奉主の恭