まず、動機づけ・意欲の捉え方の留意点を指摘し、それが行動の契機と結果に介在する、認知的段階と情意的段階を含む過程であることを説明した。また、内発的・外発的動機づけの区分について、今日では自己決定の程度に応じた両者を極とする連続体として捉えられていることに言及した。次に、持続的な取り組みにおいてこそ学習意欲が問題とされることを指摘、期待と価値に関わる認知的過程(自己効力感・原因帰属・努力の概念と能力観)が意欲を支えていることを指摘した。最後に、近年指摘されている児童生徒の学習意欲の低下と「確かな学力」が示唆する学習態度との関連を考察し、意欲の低下を学習者の資質に欠けると断じるのではなく、学習課題に適応した環境整備の必要性を説いた。そして、Kellerの提唱するARCSモデルを紹介し、知的好奇心を引き出す授業工夫や自己効力感を育む体験について解説を施した。