記憶は認識活動の中心として位置づけされているにもかかわらず、日本においては発達研究が極めて乏しい。本シンポジウムではそうした数少ない基礎的研究成果を紹介し、その学術的意義と教育への貢献の可能性を検討した。筆者は指定討論者として、メタ記憶の発生指標としての幼児による心的動詞の使用、日常活動場面に関する幼児のソースモニタリング、児童の文脈を手がかりとした記銘能力について、欧米の研究を引用しつつ発表された研究成果に対してコメントを提供した。