絵本を逆さにしてみることから幼児は絵のむきに無頓着などと言われるが、実際には身体基準系を利用したむきの判断が可能なはずである。本研究では図形や絵の正立性概念を取り上げ、その形成に関わる諸要因を検討した。実験の結果、正立性の固定は4歳前後で初めて十分な水準に達するが、それはむきを何等かの形で符号化できるようになったためと考えられた。