幼児にとって水平・垂直線間弁別は容易なのに斜線間は困難である。こうした斜線効果に関する実験的研究の概観を認知発達の観点から試みた。近年の研究によると、幼児にすら方位のカテゴリー化能力が備わっているらしい。幼児期には方位のカテゴリーはより精緻なものとなるが、斜めのようにカテゴリー内部の分化の進行が遅い方位に関しては、いくつかの符号化方略が年齢と共に発達し、それらが文脈に応じて利用可能になっていく。