本研究は、マーケティングとは何かという中心問題を解明しようとするために、アメリカの第2次世界大戦後のマネジリアル・マーケティングの展開と学説の再検討に焦点を当ててすすめられた。
具体的には下記の4つのテーマにもとづく研究が行われた。
(1)マーケティングの定義と顧客志向
マーケティングの定義は何かということの再検討と、肩客志向をめぐる諸論点のレビューをすすめ、マーケティングとは販売の現代的形態であること、単なる販売との違いとして顧客志向が重要であることを主張した。
(2)マーケティング成立期の学説にみる顧客志向
アメリカにおける20世紀初頭のマーケティング成立期の学説として、バトラー、ショー、クラーク、ホワイトの所説を検討して、顧客志向が当時どのようにとらえられていたのかを整理した。
(3)「マーケティング・コンセプト」の成立とゼネラル・エレクトリック社の事例研究
アメリカにおいて「マーケティングとは顧客志向である」という主張がなされた、1950年代の「マーケティング・コンセプト」についての研究と、その実際の展開事例としてゼネラル・エレクトリック社をとりあげて分析した。
(4)顧客志向の現代的4類型による事例研究
顧客志向の具体的な展開方向として4つの類型を指摘し、それぞれに当てはまる事例の分析を行い、4類型の特徴を論じた。
以上のように、3年間の研究成果はとりまとめたものの、第2次世界大戦後のアメリカ・マーケティングの全体像を明らかにするという点では残された課題も多い。