構造転換期の生協運動・事業を事例的に明らかにするため、首都圏の生協について、コープとうきょう・コープネット事業連合、生活クラブ生協グループ、首都圏コープ事業連合グループの3類型を、また、首都圏の生協群とは組合員の階層的基盤やコミュニティが異なる地方型として、「東北型」の生協を調査し、比較検討した。 首都圏の3つの生協群は、それぞれ店舗展開型、個配中心型、共同購入型と事業特徴が異なり、また、組合員の階層的基盤も異なる。しかし、地域経済や地域コミュニティとの結びつきが強く、相互に県域での自立戦略をとる「東北型」の生協群と比べると、首都圏地域では、より事業連合への事業的集中が進んでおり、事業と組織の分離度合いが進展している。事業連合段階という現段階の生協運動においても、地域によって展開の仕方が異なり、類型化という方法の有効性が示唆された。 こうした現段階の生協運動の特徴は、大規模化と事業連合の成立であり、事業特徴は共同購入から店舗展開と個配へ、そして、生協の組織論としては班から個人参加型が模索され始めている。概して、生協事業構造における個人化対応の進展と、それに伴う組織構造との乖離が進展し、生協組織再編が進みつつあり、その点での個々の生協のミッションと戦略の違いが、コミュニティの違いを反映しながら進行していることが明らかにされた。