1990年代以降において、雇用の不安定化や高齢化などにより貧困問題は拡大し、同時に社会保障制度は本来の対象を見失ってきている。医療ソーシャルワーカーは、医療制度改革により退院援助業務に傾斜するなかで、社会科学的な対象認識が希薄になりつつあるように感じられるのである。本研究では、今日における医療福祉の対象を規定し、方法論を提起するために、退院援助対象者の生活実態を量的な事例調査により明らかにした。