筆者は,第一段階実習と関係する介護実習指導の教科担当を行ってきた.そこで,本研究では,実習生自身が実習期間中に作成した実習日誌の「考察部分」に記述していた実習項目をもとに社会福祉援助技術を教授する視点から研究を試みた.今回は8名の実習生の日誌からの項目の抽出であるため,この結果から一般的な判断をすることは限界がある.しかしながら,第一段階実習に向けた事前指導としての「実習指導I」においては,対人援助技術としてのコミュニケーション能力の獲得が重要であることがあらためて明らかになった.このことは,対人援助技術としての社会福祉援助技術の視点を盛り込んだ「実習指導I」の展開は,単に介護技術や知識を習得するというものに止まらせることなく,対人援助技術としての介護福祉を成り立たせていくためには必要不可欠であるといえる.