藤原宇合「遊吉野川」詩には、非現実世界の存在とそのような空間への逃避とを否定し、現実世界に留まり俗世間を超越しようとする発想がみられる。これは、陶淵明の「帰田」の思想と共通している宇合は、隠逸を実践した陰湿詩人陶淵明の精神を継承し、自ら吉野で隠逸を実践する隠逸詩人として真の隠逸をテーマにした作品を創作したのである。