懐風藻の誤字・欠字箇所の一つ、「樹口」は群書類従本の「除」が採用されることが多い。しかし、「樹除」は漢籍に例が見出せず、漢語表現としても適切ではない。諸本の状況と看護表現としての適切さから、唐太宗詩にある「樹隕」の可能性を考えたい。もう一つの「虞葵」は、来歴志本の崩し字は一見「葵」のようだが、「塵」である。「虞塵」として、古代中国の音楽の名手虞公の故事を踏まえていると考えるのが適切である。